出生前診断はいつ、何を受ければいい?妊娠週数ごとの検査を解説
出生前診断には、NIPT、胎児超音波検査、羊水検査などがあり、それぞれ受けられる妊娠週数、目的、わかることが異なります。
「どの検査を受ければ一番安心ですか?」と聞かれることがありますが、一つの検査ですべての先天性疾患を調べることはできません。
大切なのは、妊娠週数に応じて、それぞれの検査で「何がわかり、何がわからないのか」を理解したうえで、ご自身が必要と考える検査を選択することです。
出生前診断にはどのような検査がありますか?
出生前診断には、大きく分けて「スクリーニング検査」と「確定的検査」があります。また、胎児の身体や臓器の形態を評価する胎児超音波検査があります。
NIPTは、妊婦さんの血液から主に21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べるスクリーニング検査です。
胎児超音波検査は、超音波によって赤ちゃんの身体や臓器の形態、発育などを観察します。
羊水検査は、羊水中に含まれる胎児由来の細胞などを用いて染色体を調べる確定的検査です。
それぞれ役割が異なるため、「どれか一つを受ければ他の検査は必要ない」というものではありません。
妊娠9週以降:NIPT
当院では、NIPTを妊娠9週以降に行っています。
当院で行っている認証NIPTでは、妊婦さんの血液中に含まれる胎盤由来のDNA断片(cfDNA)を分析し、主に次の3つの染色体疾患の可能性を調べます。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 13トリソミー(パトウ症候群)
NIPTはこれらの染色体疾患について精度の高いスクリーニング検査ですが、確定診断ではありません。
また、NIPTですべての染色体疾患、遺伝性疾患、胎児の形態的異常がわかるわけではありません。
妊娠11〜14週頃:初期精密超音波検査
妊娠11〜14週頃には、初期精密超音波検査によって赤ちゃんの身体や臓器の形態などを詳しく観察することができます。
この時期には、NT(nuchal translucency:胎児頸部浮腫)をはじめ、胎児の身体や臓器の形態などを評価します。
NIPTが主に特定の染色体疾患について調べる検査であるのに対し、胎児超音波検査では赤ちゃんの形態を観察します。
そのため、NIPTと初期精密超音波検査は、どちらか一方がもう一方の代わりになる検査ではありません。
当院では、NIPTと初期精密超音波検査を組み合わせた「NIPTプラス」も行っています。
妊娠16週頃から:必要に応じて羊水検査
羊水検査は、胎児の染色体疾患などについて詳しく調べるための確定的検査です。
当院では主に妊娠16週頃から行っています。
NIPTで陽性となった場合には、それだけで染色体疾患が確定するわけではないため、遺伝カウンセリングを行い、原則として羊水検査による確定診断を検討します。
また、胎児超音波検査で形態的異常が認められ、より詳しい遺伝学的評価が必要と考えられる場合にも、羊水検査を検討することがあります。
超音波所見などによっては、羊水を用いた染色体検査に加えて、SNPマイクロアレイなどの詳しい解析について検討する場合があります。
妊娠18〜22週頃:中期胎児超音波検査
妊娠中期になると、胎児の身体や臓器がさらに発育し、妊娠初期より詳しく形態を評価できるようになります。
中期胎児超音波検査では、赤ちゃんの脳、顔、脊椎、心臓、胸部、腹部、四肢などを妊娠週数に応じて観察します。
NIPTが陰性であっても、中期の胎児形態評価には重要な役割があります。
妊娠初期の精密超音波検査で明らかな異常が認められなかった場合でも、妊娠が進んでから確認できるようになる形態的異常があるためです。
妊娠26〜30週頃:後期胎児超音波検査
妊娠後期には、胎児の発育や身体・臓器の形態などを再度評価します。
胎児の成長に伴って明らかになる所見もあるため、妊娠初期・中期の検査で異常が認められなかった場合でも、後期の超音波評価が有用なことがあります。
また、胎児の発育、羊水量、胎盤などについても妊娠週数に応じて確認します。
結局、どの出生前診断を受ければよいのでしょうか?
すべての妊婦さんに一律に「この検査を受ければよい」と決めることはできません。
年齢だけでなく、妊娠週数、これまでの妊娠歴、超音波所見、出生前診断について何を知りたいのか、検査結果をどのように受け止めるのかなどによって、検討する検査は異なります。
また、NIPTのようなスクリーニング検査と、羊水検査のような確定的検査では、検査の目的や意味が異なります。
まずそれぞれの検査について正しく知り、そのうえでご自身にとって必要な検査を考えることが大切です。
出生前診断は「一度の検査」で終わるものではありません
赤ちゃんは妊娠期間を通して成長していきます。
妊娠初期には確認できなかった所見が、妊娠中期や後期になって初めて明らかになることもあります。
そのため出生前診断では、一つの検査結果だけを見るのではなく、妊娠週数に応じて赤ちゃんの状態を評価していくという視点も重要です。
まず出生前診断について正しく知り、そのうえで目の前のご自身の赤ちゃんと向き合うことが大切です。
当院では、それぞれの検査について最新の専門的な情報を十分にご説明したうえで、妊婦さんご自身の選択を尊重しながら、必要な検査について一緒に考えていきます。
よくある質問
出生前診断は妊娠何週から受けられますか?
検査によって異なります。当院ではNIPTは妊娠9週以降、初期精密超音波検査は主に妊娠11〜14週頃、羊水検査は主に妊娠16週頃から行っています。
NIPTを受ければ他の出生前診断は必要ありませんか?
いいえ。NIPTは主に21・18・13トリソミーの可能性を調べる検査です。胎児超音波検査では赤ちゃんの身体や臓器の形態などを観察するため、それぞれ役割が異なります。
出生前診断を受けるか迷っています。相談だけでもできますか?
はい。出生前診断では、それぞれの検査でわかること・わからないことを理解したうえで検討することが大切です。検査について迷われている段階でもご相談ください。
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執筆・監修:広尾 峰岸産婦人科 院長 峰岸一宏
産婦人科専門医・超音波専門医・臨床遺伝専門医/医学博士
最終更新:2026年9月
