NIPTは妊娠何週から受けられる?検査時期と知っておきたいこと
NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は妊娠初期から受けることができ、当院では妊娠9週以降に検査を行っています。
NIPTは妊婦さんの採血によって、主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの可能性を調べる精度の高いスクリーニング検査です。
ただし、「妊娠9週になったらすぐにNIPTを受ければ、出生前診断はそれで終わり」というわけではありません。NIPTでわかることには限界があり、胎児超音波検査にはNIPTとは異なる重要な役割があります。
NIPTは妊娠9週以降に受けられます
妊娠中は、胎盤に由来するDNAの断片(cfDNA)が妊婦さんの血液中に存在しています。NIPTは、妊婦さんから採血を行い、このcfDNAを分析する検査です。
当院では、妊娠週数や超音波所見などを確認したうえで、妊娠9週以降にNIPTを実施しています。
妊婦さんの採血によって行うため、羊水検査のように子宮内へ針を刺す必要はありません。一方、NIPTは赤ちゃんの染色体疾患を確定する検査ではなく、特定の染色体疾患の可能性を調べる「スクリーニング検査」です。
NIPTでは何がわかりますか?
当院で行っている認証NIPTでは、主に次の3つの染色体疾患について、その可能性を調べます。
- 21トリソミー(ダウン症候群)
- 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- 13トリソミー(パトウ症候群)
NIPTはこれらの染色体疾患について精度の高いスクリーニング検査ですが、確定診断ではありません。
また、すべての染色体疾患や遺伝性疾患、胎児の形態的異常がわかる検査ではありません。そのため、NIPTの結果だけで赤ちゃんのすべての状態を判断することはできません。
妊娠9週になったら、すぐにNIPTを受けた方がよいですか?
NIPTを受けられる妊娠週数になったからといって、必ずしも「できるだけ早く受ければよい」というものではありません。
出生前診断を考える際には、検査を受ける時期だけでなく、「何のために検査を受けるのか」「その検査で何がわかり、何がわからないのか」を理解しておくことが大切です。
また、妊娠初期には超音波検査によって妊娠週数や胎児の発育などを確認します。妊娠11〜14週頃になると、初期精密超音波検査によってNT(胎児頸部浮腫)や胎児の身体・臓器の形態などをより詳しく観察することができます。
妊娠週数やこれまでの妊娠経過、超音波所見などを確認しながら、それぞれの検査の特徴を理解したうえで、どの検査をいつ受けるかを考えていくことが重要です。
NIPTが陰性なら胎児超音波検査は必要ありませんか?
NIPTが陰性であっても、胎児超音波検査にはNIPTとは異なる重要な役割があります。
NIPTが主に21・18・13トリソミーの可能性を調べる検査であるのに対し、胎児超音波検査では、赤ちゃんの身体や臓器の形態、発育などを観察します。
先天性疾患には染色体疾患だけでなく、先天性心疾患をはじめとするさまざまな形態的異常があります。そのため、NIPTと胎児超音波検査は、どちらか一方がもう一方の代わりになる検査ではありません。
NIPTと初期精密超音波検査を組み合わせた「NIPTプラス」
当院では、NIPTと初期精密超音波検査を組み合わせた「NIPTプラス」も行っています。
NIPTでは主に21・18・13トリソミーの可能性を調べ、初期精密超音波検査では、NTや胎児の身体・臓器の形態などを詳しく観察します。
染色体疾患のスクリーニングと胎児の形態評価は目的の異なる検査です。当院では、NIPTだけで赤ちゃんの状態を判断するのではなく、必要に応じて胎児超音波検査を組み合わせて評価することを大切にしています。
NIPTで陽性になった場合はどうなりますか?
NIPTで陽性となった場合でも、それだけで赤ちゃんに染色体疾患があると確定するわけではありません。
NIPTはスクリーニング検査のため、陽性となった場合には遺伝カウンセリングを行い、検査結果や超音波所見について詳しくご説明したうえで、原則として羊水検査による確定診断を検討します。
検査結果だけで結論を急ぐのではなく、その結果が何を意味するのかを正しく理解したうえで、その後の方針を考えることが大切です。
出生前診断は「いつ受けるか」だけでなく「何を調べるか」が大切です
「NIPTは妊娠何週から受けられるのか」は、出生前診断を考えるうえで大切な情報です。
しかし、NIPTを受けることだけが出生前診断ではありません。
NIPT、胎児超音波検査、羊水検査などは、それぞれ検査を受けられる時期、目的、わかること・わからないことが異なります。
当院では、それぞれの検査について専門的な情報を十分にご説明したうえで、妊婦さんご自身の選択を尊重しながら、妊娠週数や状況に応じた検査について一緒に考えていきます。
よくある質問
NIPTは妊娠何週から受けられますか?
当院では妊娠9週以降にNIPTを受けることができます。妊娠週数や超音波所見などを確認したうえで、検査を受ける時期についてご相談します。
NIPTは確定診断ですか?
いいえ。NIPTは主に21・18・13トリソミーの可能性を調べるスクリーニング検査です。陽性となった場合には、原則として羊水検査による確定診断を検討します。
NIPTが陰性なら、赤ちゃんに先天性疾患はないということですか?
いいえ。NIPTですべての先天性疾患を調べることはできません。胎児超音波検査など、NIPTとは異なる目的の検査も重要です。
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執筆・監修:広尾 峰岸産婦人科 院長 峰岸一宏
産婦人科専門医・超音波専門医・臨床遺伝専門医/医学博士
最終更新:2026年9月
